平成28年度「生命倫理法」シラバス

【副題】バイオエシックスの諸問題と法政策
【授業の到達目標】
 授業では、急速に発展している生命科学技術や先端医学研究がもたらす社会的倫理的な問題や現代医療をめぐる生命倫理の諸問題について、具体的な事例を通して考えていきます。唯一の正解がなかなか見つけにくい倫理的な問題に対して、司法判断や法制度や法政策はどうあるべきなのか。諸外国の状況などグローバルな視点からも多角的に生命倫理の諸問題を捉え、多様な価値観を有する当事者の立場を理解し、主体的に解決策を考えていくことができる柔軟な知的態度を涵養することを授業の目標とします。
【授業の概要】
 遺伝子検査技術の向上と低コスト化、iPSやES細胞などの万能細胞研究がもたらす再生医療や難病治療の実現可能性、その他の現代の生命科学の加速度的な進歩は、極めて大きな期待を有している半面、次々と新しい倫理的社会的問題を提起してきています。そして、それらへの法的応答に対する社会的要請が極めて強くなってきています。本講義では、生命科学技術とそれを応用する現代医療をめぐるバイオエシックス上の諸問題を取り上げ、ドキュメント映像を視聴し具体的な現実や事例を題材に法規制のあり方を検討します。毎回授業の最後にフィードバック・コメントシートに授業で新たに得た知見や洞察を記入するとともに、質問事項があれば記入して提出してもらいます。次回授業では、それらの質問の主なものに答えるとともに、必要に応じて補足のコメント等を行います。
【授業の計画】
1.生命倫理学とは何か?:自然科学と人文社会科学
2.生命倫理学の4原則と自己決定制約の4原理:生命倫理と医療倫理と臨床倫理
3.癌や不治の病の告知:インフォームド・コンセントとパターナリズム
4.医療過誤:患者の権利と医療従事者の法的責任
5.遺伝子検査と遺伝学的情報の開示:知る権利と知らないでいる権利
6.遺伝学的情報のプライバシーと遺伝子差別:遺伝子格差と社会的不平等
7.生殖補助医療① 着床前診断や出生前診断と選択的堕胎:障害者と優生思想
8.生殖補助医療② 精子・卵子売買と代理出産をめぐる問題:子の福祉と出自を知る権利
9.重度障害新生児の治療停止
10.宗教上の理由による輸血拒否
11.終末期医療① 人工生命維持装置の停止や治療中止:消極的安楽死と尊厳ある死を選ぶ権利
12.終末期医療② 医療従事者による自殺幇助と積極的安楽死:尊厳ある死を選ぶ権利 
13.臓器移植と臓器売買:医療ツーリズムと闇市場
14.医学研究の不正と利益相反:倫理審査委員会の役割
15.混合診療と健康保険制度:医療へのアクセスの不平等と格差
【評価方法】
 平常点と学期末筆記試験もしくはレポート試験の総合評価とします。平常点は、毎回行う授業フィードバック・コメントの内容と出席回数によります。単位取得のためには、最低3分2以上の出席を必要とします。病気その他のやむをえない事情で出席回数がこの要件に達しない受講生は個別に相談下さい。30分以上遅刻や終了時刻30分以前の退出は出席と見なされません。出席点は1回1点、毎回のフィードバック・コメントの内容を合わせて約30%を平常点とします。最終成績評価の約70%を占める筆記試験もしくはレポート試験は、毎回の授業をしっかり聞いて考えていないと論述が難しい課題を出題する予定です。知識獲得量を評価するのではなく、意見の分かれる様々な倫理的問題を掘り下げ、多角的な観点(アプローチ)から諸外国の動向も踏まえ批判的に考察し、他者の見解も踏まえながら自らの見解を組み立てる能力が養われているかを試験の評価指標とします。
【授業時間外の学修について】
 予習として授業内容に関するテキストの章や配布資料に目を通してくること。
【学生へのメッセージ】
 生命倫理の問題を実定法解釈の枠にとどまらず、法的規制をめぐる論争の背後にある理論(思想)対立にも着目するとともに、比較法文化論的・比較法制度的視角、あるいは法政策学や「法と経済学」的視点、さらには法哲学的観点からも分析する思考訓練を通して、学際的でグローバルな幅広い思考能力を身につけてください。
【教科書】甲斐克則(編)『レクチャー生命倫理と法』(法律文化社、2012年)
【参考書】玉井・大谷(編)『はじめて出会う生命倫理』(有斐閣、2011年)
     伏木信次・樫則章・霜田求編『生命倫理と医療倫理』第3版(金芳堂、2014年)
瀬戸山代表写真

高い人権意識を有した医療従事者と研究倫理規範を備えた医学研究者の育成を目指して

瀬戸山 晃一

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