平成28年度「倫理学」シラバス

Ⅰ 教育の目的と方針
 医学部生対象の選択必修科目ということもあり、生命倫理学(医療倫理学、臨床倫理学)を中心に、具体的な現代医療をめぐる問題を題材に講義を行う。
 そもそも倫理学とは一体どのような学問分野であり、医歯薬学や理工学などの自然科学とどこか異なるのか、そして人文社会科学の中では、どのような位置づけになり、いかなる学術上の特色や方法論を有しているのかについて理解する。知識の獲得に講義の主眼を置くのではなく、唯一の正しい解答のない、倫理学者においても意見の対立する、現代医療の倫理的諸問題を多角的でグローバルな視座から捉え、考え抜く知的忍耐力を養うことを本講義の目的と方針とする。
Ⅱ 教育目標
 この授業では、将来、医療に携わる皆さんが、本音と建前を分けることなく、なぜ今、医療において倫理が問われているのか、患者の人権や自律の尊重がなぜ大切であるのかについて真剣に考え理解できる知的基盤づくりを行う。異なる価値観を有する他者である患者(当事者)の気持ちをより理解し、一医師の個人的な価値観を押し付けることなく医療を提供できる柔軟や思考と知的態度を養成することを教育目標とする。
Ⅲ 授業形態
 授業は、主として講義形式で行うが、取り上げる現代医療のテーマに関する様々なドキュメンタリーなどの映像なども視聴する。毎回記入して提出する受講生のフィードバック・コメントも活用し双方向的な講義を展開する予定である。
Ⅳ 授業概要
医療倫理の四原則と自己決定(自由)制約の四原理
自律、インフォームド・コンセントとパターナリズム
遺伝子検査と遺伝学的情報のプライバシー
雇用や医療保険や生命保険における遺伝子差別 
遺伝子介入と増強(エンハンスメント)
代理出産や精子・卵子売買、出生前診断と選択的堕胎などの生殖補助医療
重度障害新生児の治療停止、人工生命維持装置の取り外しなどの消極的安楽死や自殺幇助などの積極的安楽死や尊厳死、治療拒否、輸血拒否、胃ろうなどの終末期医療
混合診療や臓器売買など医療へのアクセスの平等性
治験や臨床試験などの医学研究の不正問題や臨床研究を審査する倫理審査委員会
Ⅴ 指導方法
 次回の授業内容に該当するテキストの章や配布資料に目を通してくること。フィードバック・コメントシートに毎回授業で新たに得た知見や洞察を記入し、質問事項があれば記入して提出すること。次回授業では、はじめにそれらの質問の主なものに答えるとともに、必要に応じて補足のコメント等を行う。
Ⅵ 教科書、参考文献等
玉井真理子・大谷いづみ(編)『はじめて出会う生命倫理』(有斐閣2011年、\1900+税)。
マイケル・サンデル『完全な人間を目指さなくてもよい理由:遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』(林芳紀・伊吹友秀訳、ナカニシヤ出版2010年、\1800+税)。
参考文献等については講義中に紹介し、参考資料は、適宜配布する。
Ⅶ 成績評価基準
1 平常点(26%)
 毎回行う授業フィードバック・コメントにより出席確認を行う。単位取得のためには、最低10回以上の出席を必要とする。病気その他のやむをえない事情で出席回数がこの要件に達しないものは、個別に相談すること。
 30分以上遅刻の場合や終了時刻30分以前の退出は出席と見なされない。
 出席点は1回1点、毎回のフィードバック・コメントの内容を合わせて合計26%を平常点とする。

2 筆記試験(74%)
 筆記試験は、教科書と配布資料とノート等を持込可とするが、それらを抜粋することでは対応できず、毎回の授業をしっかり聞いて考えていないと論述が難しい課題とする予定である。

瀬戸山代表写真

高い人権意識を有した医療従事者と研究倫理規範を備えた医学研究者の育成を目指して

瀬戸山 晃一

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