平成30年度「生命倫理学」シラバス
- 授業概要(教育目標・指導方法)
- 本講義では医学科との合同で現代医療をめぐる生命倫理(医療倫理・臨床倫理)が問題となる具体的な事例を取上げて、ドキュメンタリービデオを視聴したり医学科の受講生とグループディスカッションを通し、倫理問題に気づく感受性を涵養します。諸外国の状況などグローバルな視点から多角的に生命倫理の問題を捉え、多様な価値観を有する個々の患者さんやご家族等の関係者などの当事者の目線から、今後の日本医療を担う皆さんが主体的に考え、その洞察を医療実践に活用できる柔軟な態度を養成することを目的とします。
- 授業内容
- 生命倫理学と医療倫理の4原則と自己決定制約の4原理:生命倫理と医療倫理と臨床倫理
- 癌や不治の病の告知:インフォームド・コンセントとパターナリズム
- 遺伝子検査と遺伝学的情報の開示:「知る権利」と「知らないでいる権利」
- 遺伝学的情報のプライバシーと遺伝子差別:遺伝子格差と社会的不平等
- 着床前診断と胚選別、出生前診断と選択的堕胎、デザイナーベビー:優生思想(出生の生命倫理①)
- 精子・卵子売買や代理出産をめぐる問題:子の福祉と「出自を知る権利」(出生の生命倫理②)
- 重度障害新生児の治療停止、宗教上の理由による輸血拒否とパターナリズム(終末期医療①)
- 人工生命維持装置の停止や治療中止、胃ろう:消極的安楽死と尊厳ある死を選ぶ権利(終末期医療②)
- 医療従事者による自殺幇助と積極的安楽死:尊厳ある死を選ぶ権利(終末期医療③)
- 臓器移植と臓器売買:医療ツーリズムと闇市場
- 医療過誤と医療従事者の法的責任
- 医学研究の不正と利益相反、倫理審査委員会の役割
- 混合診療と健康保険制度:医療へのアクセスの不平等と格差
- 赤ちゃんポストと全体のまとめ(総括)
- 筆記試験もしくは持ち帰り式レポート試験
- 教科書:村松・松島・盛永(編)『教養としての生命倫理』(丸善出版2016年)
- 参考書:講義において適宜指示する。また参考資料として、新聞記事などを配布する。
- 評価方法・成績評価基準:平常点28%、筆記試験もしくは持ち帰り式レポート試験72%。
- 助産学履修希望者は必修である。
- 開始時刻30分以上遅刻の場合や終了時刻30分以前の退出は出席と見なされない。遅刻の合計が60分を超える場合には、欠席1回としてカウントする。1~13講までは、医学科との合同授業となる。
高い人権意識を有した医療従事者と研究倫理規範を備えた医学研究者の育成を目指して
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